衷 - 漢字私註

説文解字

裏䙝衣。从聲。『春秋傳』曰、皆衷其衵服。
衣部

康煕字典

部・劃數
衣部・四劃

『唐韻』陟弓切『集韻』『韻會』『正韻』陟隆切、𠀤音中。『玉篇』善也。『書・湯誥』惟皇上帝、降衷于下民。『左傳・昭二十二年』無亢不衷、以獎亂人。

又中也。『周語』國之將興、其君齊明衷正、精潔惠和。

又『韻會』誠也。『左傳・昭十六年』發命之不衷。

又通也。『左傳・莊六年』必度于本末而後立衷焉。

又『增韻』方寸所蘊也。

又『說文』裏褻衣也。『左傳・宣九年』陳靈公與孔寧儀行父通于夏姬、皆衷其衵服。

又姓。『正字通』漢哀帝之後衷愉仕唐、攺姓哀。

又『廣韻』陟仲切、中去聲。當也。『韻會』折衷、平也。『史記・孔子世家』折衷于夫子。《註》折、斷也。衷、當也。

又『後漢・梁統傳』爰制百姓于𠛬之衷。《註》不輕不重也。通作。『前漢・貢禹傳』微夫子之言、則無所折中。亦讀作平聲。

『六書正譌』俗作𠂻、非。

音訓

チウ(漢、呉)
したぎ。はだぎ。なか。うちにする。まこと。まごころ(衷心)。よい。あたる。かなふ。

解字

白川

形聲。聲符は

『説文解字』にうちの䙝衣なりとあり、衣裳の下に著込んだ肌著をいふ。

左傳・襄二十七年衷甲(甲をうちにす)とは、鎧を下に著込んで隱すことをいふ。

内にあつて外に顯れないもの、それで衷情、衷心、衷誠のやうに、心に關して用ゐる。

折衷とは折中の意。

藤堂

と音符の會意兼形聲。中は、なかほど、充實した中身、の二つの意を含む。衷は、衣で包んだその中身。中と殆ど同じ。

漢字多功能字庫

に從ひ聲。本義は下着、肌着。

また、肌に著ける、内側に著ることを表す。『左傳・宣公九年』陳靈公與孔寧、儀行父通於夏姬、皆衷其衵服、以戲于朝。

また内心を表す。『左傳・僖公二十八年』今天誘其衷、使皆降心以相從也。

また中心、中央を表す。『左傳・閔公二年』佩、衷之旗也。杜預注旗、表也、所以表明其中心。

また中斷を表す。『左傳・隱公九年』戎人之前遇覆者、奔、祝聃逐之、衷戎師、前後擊之、盡殪。楊伯峻注衷借為中、中斷之意。此謂因三處伏兵突起、將戎師折為數段。

また正派(方正、眞つ直ぐなること)を表す。『左傳・昭公六年』叔向曰、楚辟、我衷、若何效辟。杜預注辟、邪也。衷、正也。

また善を指す。『書・湯誥』惟皇上帝、降衷于下民。孔傳衷、善也。

また忠誠をいふ。『荀子・子道』孝子不從命、乃衷。

また恰當(適當、打つて附け、適切なること)を表す。『左傳・僖公二十四年』服之不衷、身之災也。杜預注衷、猶適也。

屬性

U+8877
JIS: 1-35-79
當用漢字・常用漢字