婁 - 漢字私註

説文解字

空也。从。空之意也。一曰、婁、務也。
毋はあるいは母とも毌ともされる。
説文解字注は第三句を婁空之意也。とする。
十二女部
𡜰
古文。

康煕字典

部・劃數
女部八劃
古文
𡜰
𡇔
𡝨

『集韻』『韻會』𠀤隴主切、音縷。卷婁、形神交役也。『莊子・徐無鬼』舜舉童土之地、齒長明衰、不得休歸、所謂卷婁者也。

又繫馬曰維、繫牛曰婁。牛馬維婁、見『公羊』。

又『集韻』龍遇切『正韻』良據切。𠀤同屢。煩數也。『前漢・公孫弘傳』上方興功業。婁舉賢良。又『元帝紀』百姓婁遭凶咎。

又『集韻』倫爲切、音羸。墊婁、地名。在西羌。

又『廣韻』洛侯切『集韻』『韻會』郞侯切『正韻』盧侯切、𠀤音樓。星名。『禮・月令』季冬之月、日在𭒀女昏婁中。『淮南子・天文訓』二月建奎婁。

又地名。『春秋・隱四年』莒人伐杞、取牟婁。又『僖十八年』衞侯師于訾婁。

又江名。『史記・正義』江東北下三百餘里、入海曰婁江、今松江屬有婁縣。

又人名。離婁、古之明目者。『楚辭・九章』離婁微睇兮、瞽以爲無明。又黔婁、齊隱士、有『黔婁子四篇』。

又姓。漢婁敬、高祖賜姓劉。唐婁師德。

又獸名。『韓詩外傳』北方有獸、名曰婁、更食而更視。又同䝏。『左傳・定十四年』旣定爾婁豬。

又『集韻』龍珠切『正韻』凌如切、𠀤音慺。曳也。『詩・唐風』子有衣裳、弗曳弗婁。

又鏤刻貌。『何晏・景福殿賦』繚以藻井、編以綷疏。紅葩𩉾鞢、丹綺離婁。《註》離婁、鏤刻分明也。

又愚也、昧也。『蘇氏演義』時人以無分別者爲邾婁不辨。邾婁、小國。微小之人不能分別也。『六書故』春秋邾國、號邾婁。

又『集韻』朗口切『正韻』朗斗切。𠀤同塿。小阜也。『左傳・襄二十四年』子太叔曰、部婁無松柏。

部・劃數
女部七劃

『玉篇』古文字。註詳八畫。

部・劃數
囗部六劃

『六書統』古文字。註詳女部八畫。

部・劃數
女部八劃

『集韻』古作𡝨。註詳八畫。

部・劃數
女部八劃

字。

異體字

簡体字。

音訓

(1) ル(漢・呉)
(2) ロウ(漢) ル(呉)
(1) ひく。おろか。しばしば。
(2) たたみ、たたらぼし: 星の名。二十八宿の一、婁宿

解字

白川

象形。婦人の髮を高く卷き上げた形。高く重ねる、すかすなどの意がある。

説文解字(段注本)に婁空之意也。といふ婁空とは、髮を輕く卷き重ねて、透かしのある意であらう。

目の明らかなことを離婁といひ、窗の高く明るいことを麗廔といふ。すべて重層のものをいひ、建物には樓、裾の長い衣には「く」といふ。『詩・唐風・山有樞子有衣裳、弗曳弗婁。(子に衣裳あるも、曳かずかず)とあるのは摟の意。絲には縷といひ、婁は女の髮、これをうつて亂すを「數數サクサク」といふ。

『繫傳』に一に曰く、婁務は愚なり。とあつて、疊韻の語であるが、用例を見ない語である。

藤堂

母との會意。母も女も女性であつて、女性を捕らへて數珠繫ぎにして引つ張るさまであらう。

漢字多功能字庫

金文は二と角とに從ふ。角は聲符。二爪は兩手の形を象り、兩手で角を持つ形に象る。陳秉新は、獸の角を捉へて挌鬪するさまを象り、本義は引つ張ること、とする。女に從ふのは女を捉へて引つ張るさまを象るともいはれる。金文では人名に用ゐる。

用義は次のとほり。

屬性

U+5A41
JIS: 1-47-12
𡜰
U+5A04
𡇔
U+211D4
𡝨
U+21768
𡝤
U+21764
U+5A04
JIS X 0212: 25-45

関聯字

婁聲の字