亥 - 漢字私註

説文解字

荄也。十月、微陽起、接盛陰。从𠄞。𠄞、古文上字。一人男、一人女也。从、象褢子咳咳之形。『春秋傳』曰、亥有二首六身。凡亥之屬皆从亥。
十四亥部
𢁓
古文亥爲豕、與同。亥而生子、復從一起。

説文解字注

荄也。十月、微昜起、接盛侌。从𠄞。𠄞、古文上字也。一人男、一人女也。从𠃋、象褱子咳咳之形也。『春秋傳』曰、亥有二首六身。凡亥之屬皆从亥。
𢁓
古文亥。亥爲豕。與同。亥而生子、復從一起。

康煕字典

部・劃數
亠部四劃

『唐韻』『正韻』胡改切『集韻』『韻會』下改切、𠀤音頦。辰名。『爾雅・釋天』太歲在亥曰大淵獻。『前漢・律歷志』該閡於亥。『唐書・禮樂志』吉亥祀先農。『元史・祭祀志』黑帝位亥。

又姓。晉亥唐。

又豕亥。『家語』或讀史云、三豕渡河。子夏曰、已亥渡河、已譌爲三、亥譌爲豕。校之、果然。『左傳・襄三十年』史趙曰、亥有二首六身。《註》亥字、二畫在上、幷三人爲身、如算之六。

又亥市。『通雅』靑箱雜記、蜀有亥市、亥音皆、言如痎瘧、閒日一發也。諱痎、故云亥市。『徐筠水志』荆吳俗、取寅申巳亥日集於市。

又『韻補』叶許已切、音喜。『易林』將戌繫亥、陽藏不起。君子散亂、太上危殆。殆音以。

音訓

ガイ(呉) カイ(漢)

解字

白川

象形。獸の形を象る。

㱾攺の㱾はその形に從ふ。㱾は呪靈を持つ獸をつて邪靈を祓ふ意の字。

十二支獸の猪に當てるが、十二支獸は漢以後の知識である。干支は殷の甲骨文に見えるが、十二支と字義との關係はなほ明らかでない。

藤堂

象形。豬または豚の骨骼を縱に描いたもので、骨組み、骨組みが出來上がるの意を含む。

と似てゐるが、亥は豚そのものではなく、豚の骨組みを示す。

十二進法の體系(骨組み)が全部張り渡つた所に位置する數であるから、十二番目を亥といふ。

落合

象形。

甲骨文はなどよりも方に形が近い。方が首枷をつけた人の象形なので、首枷が外れた姿か、あるいは處刑された後の人の姿と思はれる。但し甲骨文では原義での用例がなく、成り立ちは確かではない。

甲骨文では十二支の十二番目に用ゐる。

甲骨文にを加へた異體字があり、神名の「王亥」に專用される。王亥を鳥神や風神とする説もある。(補註: 王亥を『史記・殷本紀』に見えるであるとする説もある模樣。)

漢字多功能字庫

甲骨文、金文の字形、本義について、定論はない。

一説に草の根が土の中にあるさまを象るといふ(説文解字、林義光、葉玉森、高鴻縉、白玉崢、季旭昇)。根荄の荄の初文で、深、藏の意を有し、刻劃の刻、核心の核の構形や取義の説明もできる。しかし、甲骨文と根荄の形は程遠く、人を信じさせにくい。

一説にの譌誤(袁國華)で、側面から見た豬を象り、或は古には亥と豕は一字であつたといふ(商承祚、唐蘭)。甲骨文の豕と亥を比較すると、豕字の普遍的な特徵として腹部に線條があり、商代金文の豕は實のところ豬の圖象である。この種のことは亥字には見えず、亥字の構形、本義はまだ上手く説明できない。

後に十二支の十二番目に借用し、古人は時を記したり(午後9時から11時までを指す)、日を記したり年を記したりした。

亥と豕の字形は似てゐて、古には混同し、成語の「魯魚亥豕」は、魯と魚、亥と豕の字形が似てをり、書き間違へたり讀み間違へたりさせることをいふ。葛洪『抱朴子・遐覽』諺曰、書三寫、魚成魯、虛成虎。『呂氏春秋・察傳』有讀史記者曰、晉師三豕涉河。子夏曰、「非也、是己亥也。夫己與三相近、豕與亥相似。」後に「魯魚亥豕」が書籍傳寫刊印の文字の錯誤を指す。

甲骨文、金文、竹簡では十二支に用ゐ、日を記すのに多用する。

戰國竹簡ではまた改の通假字とする。《郭店簡・老子甲》簡21「蜀(獨)立不亥(改)」。(補註: 『老子・第二十五章』に獨立不改の句が見える。)

古璽では姓氏に用ゐる。

屬性

U+4EA5
JIS: 1-16-71
人名用漢字

関聯字

亥聲の字