娯樂系感想ログ: ハイスクール・フリート

基礎情報あるいは諸元

放送時期
2016Q2
放送局
BS11他
公式サイト
http://www.hai-furi.com/

#1

海保案件なのか海自案件なのかきちんと把握してゐなかつたけれども、おいおい、まさかの帝國海軍案件だつたとは……。

大きい艦砲があるよ、大きい艦砲が。時代設定どうなつてゐるの? 艦砲で撃ち合ふとか、そりや確かに浪漫があるけれども、事前情報を見た限りまさか初回から砲彈が飛ぶとは思つてゐなかつたし、飛ぶにしてもミサイルとかヘリとかが飛ぶやうな印象があつたし、砲が出てきても今時の驅逐艦の5インチ砲が精々だと思つてゐたし、といふことで、完全に想定外のものが出て來たなあ、などと。

兵器のこととか、高校に入學して早々いきなり訓練に出されて指導者も補助もなしで船を動かすとか無茶振りが過ぎることとか、色々疑問點があつたけれども、初回でいきなり砲撃された揚句の果てに反撃したことを以て叛逆者認定されたあたりで全部吹き飛んだといふか呑み込んだといふか。このアニメの針路が今の所さつぱり見えない。上手く落としてくれれば良い作品になると思ふが、失敗するとタクティカルロアあたりの二の舞になりさうで怖い。

あと、キャラクターが澤山出て來て、皆可愛らしくて實に結構だが、見分けといふことに關しては不安しかない。名前の把握は更に不安。取り敢へずCV:夏川椎菜の子とCV:Lynnの子だけは分かるやうになつた筈。筈。

#2

不幸な副長の回想でどういふ世界なのか少しだけ分かつたものの、突つ込み所がありさうだよなあ、みたいな氣分になつた。まあ、それは仕方がないとして……。

艦長は取り敢へず艦を掌握しつつあるみたいではあるが、機關科については無理をさせてゐるだけに後々色々噴くかも知れんなあみたいなことを思つた。何といふか、艦長は主人公氣質だよねえ。艦を副長に預けて漂流者助けに行くのは非常にまづいと思ふんだが、フィクションにさういふ突つ込みを入れるのは野暮なのかなあ。でも艦長が艦を離れるのは……(ループになるからやめなさい)

それから、艦砲彈をあんなに積んでゐるのに、魚雷はどうして積んでなかつたんだよ、みたいな氣持ちもある。所詮繰り言だが。

その手の突つ込みはこれくらゐにしておいて、晴風がやらかした、程度の話ではどうやら濟みさうにないのが、實にきな臭い。アドミラル・シュペーに追はれてゐた拾はれ子とか、武蔵の現状とか、晴風は實はまだ幸運な方なのかも知れない。白旗上げたあたりでは、さくさく機關を停止して降伏の態度を取つた方が良くないか、と思つたが、かうも事態に暗雲が垂れ込めてきたのを見ると、降伏せずに逃げて正解だつたとしか思へなかつたりする。

各キャラについて、なるべく頭に入れる爲に、印象を書いておくことにしようか。

個體識別が何とかできてゐるのはこのくらゐかな。

#3

晴風には積極的なやる氣などないのに、次から次に敵が襲つてくる話の三回目。今度の相手は潛水艦。

戰鬪状況を云々する前に、どうしてどの子も、自分の擔當分野についてそんなに上手にこなしてゐるのか、良く分からん。麻侖といひ見張員の子といひ万里小路さんといひ。どこで機關の修理の仕方とか魚雷航跡の判斷の仕方とかソナーの聽き方とかを教はつたんだよ、君達高校入つたばかりだよねえ、みたいな。そりや、メタな視點で見るなら、入學したばかりぢやないと人間關係を描寫する上で難しいこともあらうし、それなりに技術がないのではドンパチさせる以前だといふことは、とてもとても良く分かるのだが。うーん……。

各科の仕事ぶりに比べたら、艦橋の混亂具合はとてもそれつぽくて良い。ここまでの疲れで切れに缺けるもののポジティヴな艦長、それに比べれば冷靜ではあるがネガティヴになりがちな副長、撃ちたいだけの芽依、逃げたくて堪らない鈴。頭がかうも纏まらないと、手足の方は大變よねえ……。特に無茶ばかりさせられてゐる機關科、火が噴かなければ良いけどな……。現に拾つたドイツ娘に叱られた揚句、あつさり指揮を奪はれたもんな。普通に考へたらかなりやばい。

そんなドイツ娘も、裝備が貧弱な艦で對潛戰鬪をやるとなると、途端に困つてゐたわけだが。主計科の子らに掃海具とか爆雷投射機を扱はせることになるとか、日本軍的末期の慘状なのでは? 危ふく事故になりさうだつたし、見てゐるこちらも冷や冷やである。(かの雙子が水雷運用員といふことには後で氣附いたよorz)

ともかく今回はドイツ娘ヴィルヘルミーナさまさまであり、副長の少女趣味が一服の清涼劑であつたw

#4

物資、具體的にはトイレットペーパーがなくなつたので、買ひ出しに。位置關係とか交通とかテクノロジーとか色々疑問が浮かぶが、この状況で艦長が艦を離れるといふのが一番分からない。まあ、もう良いですけど。

それでも平和な感じでわちやわちやしてゐるのを見てゐるのは、こちらとしても心が穩やかになるわけである。艦長の帽子は私物なのか艦長專用なのか、とか、副長が可愛い、とか、機關科は機關長以外使へるんだらうか、とか、女の子は本當に噂話が大好きだよなあ、とか。

そんな中、漂流物を拾つてゐた子達が拾ひ上げた箱の中から、いかにも怪しげな齧齒類が。案の定、齧齒類を五十六から取り上げた志摩が豹變し、買物に行つた先で拘束された面々共々やつて來た艦に向けて機銃を掃射。作風がシビアだつたら銃殺されたり晴風ごと撃沈されても文句を言へない濫行だつた筈だが、幸ひにもそこは緩めだつたので倉庫に「拘束」された程度で濟んだ。一連の奇怪な出來事について解明する端緒は見えてきたわけではあるが、しかし、怪しい齧齒類の出所とか數とか、まだまだ安心はできない。

それはそれとして、志摩をぶん投げた我等がヴィルヘルミーナは、どこで投げ技を仕込まれたのだらう? そして、あの言葉遣ひをどこで覺えた?

それから、晴風に補給をするまでは良いと思ふが、どうして砲の更新までした? 幾らなんでも暢氣すぎると思ふ。

他にも突つ込み所は天こ盛りな氣がするが、猫に怯える副長の可愛さに免じて、今回はこのあたりで。シロちやんに幸福あれ。

#5

前回までで晴風の叛亂容疑云々は一段落なのかな。少し安心した。

安心したのは良いけれど、幾らなんでも緩みすぎぢやろ、これw わちやわちやと樂しげで實に良い。後、ヴィルヘルミーナの言葉遣ひが、仁義のない感じの映畫の所爲だと分かつたのも愉快といふか、あーあといふかww そんなドイツつ子に話を合はせる幸子、うん、まあ、君ならさういふ話できさうだよね……。

後、怪しい齧齒類の能力の一端が垣間見られたりとかもした。電子機器を狂はせるに至つては、どういふ原理なのかとても氣になる。

晴風はそれで良かつたが、武蔵の方はいよいよやばかつた。ミサイルみたいに射出される魚雷について、えーそんなん出すの?艦載砲で撃ち合ひしてゐるのに?みたいな氣分にもなつたが、この作品、此の手の突つ込みを入れてゐたら好い加減きりがないので程々に。

この状況に、明乃はまたしても艦を飛び出す。ましろが今まで以上に強く諫めたものの、それでも飜意しないんだから、ある意味大したものである。どうしてこの子に艦長をやらせることにしたのか、つてあたりはさつぱり分からないが。艦橋内はともかく、他部署の人心掌握、このままで大丈夫かしら。

尤も、状況はそれどころではなく、武蔵からの砲彈を撃ち落とすといふ離れ業でどうにか難を逃れる程。志摩ちやんを襃めたら良いのか、射撃手を襃めたら良いのか、巡り合はせの良さにただただ驚嘆したら良いのか。芽依ちやんが昂奮して當然の出來事だつたことだけは確か。

そして、どうにかかうにか武蔵に近付いた明乃だつたが、洋上の障碍物に阻まれ、もえかの姿を視認しただけで殘念ながら及ばず仕舞。

最後に、鈴ちやんがこれ以上怖い目に遭はぬやう、幸ひあれ。作品の性質上、無理だらうけど。

#6

前回武蔵をどうにも出來なかつた明乃は晴風に戻つたものの、いつになく氣落ちしてゐたり、ずぶ濡れになつてゐたり。迎へに出て來た鈴に連れられて風呂場に行くも、機關科の入るお時間だつたらしく、「副長派」最右翼の黒木洋美に嫌味を言はれる始末。まあ、彼女は彼女で腹に溜まつてゐるものが澤山ありさうだもんな。

そんな險惡な空氣を拂ひ、明乃だけでなく鈴とヴィルヘルミーナまでサーヴィス要員に加へる偉業を成し遂げたのは麻侖。明乃が惡いのかどうかはともかく、無茶な指揮の所爲で一番苦勞したのは彼女だらうに、あつけらかんとしてゐるのは、物事を良く分かつてゐるからか、何も考へてゐないからか。神輿は輕くて馬鹿が良いといふ發言に對する機關科員の反應だけ見れば後者に見えるが。あるいは、明乃に己と通じるものを嗅ぎ取つてゐたりするのかしら。

ともあれ、お風呂シーンの會話を聞いてゐて脳裡に浮かんだのは、帝國海軍の兵科と機關科のいざこざ的な奴。21世紀の可愛い女の子ばかり出て來るアニメで釜炊きが云々なんて科白が出て來るとは思つてもみなかつたよ。

さて、艦内は電波障碍で通信機器が使ひものにならぬ有樣。その原因を探らうとして行き着いた先は醫務室、その中には齧齒類を調べる美波。とてもマッドでサイエンティストである。どうやつて調べたのか、齧齒類とかウイルスとかについて色々と話してくれた。美波が優秀すぎて逆に怖いw

一安心するも束の間、晴風は機雷と濃霧により立ち往生することに。ともかく動けないでは困るので掃海することになつたが、さう言へば掃海の仕方とかあんまり考へたこともなかつたし、まさかアニメで扱はれる場面を見ることになるとも思はなかつた。實に結構なことだと思ふ。結構ついでに、芽依と志摩が嬉々として機銃を撃つてゐたのが、これまた結構であつた。何かをかしい氣もするが、可愛い子が樂しさうにしてゐるのだから、結構としか言ひやうがない。

ええと、掃海中の事故とか明乃と鈴が助けに行つた件については、今更のやうな繰り言を言ふ以外に能がないので、なるべく觸れないことにした。怪我をする子とかが出なくて本當に良かつたとだけ言つておく。

締めは、張り切つてドイツ料理をつくらうとしたのに、ヴィルヘルミーナにあれもこれも駄目を出された揚句に雙子の出した芋に完敗した美甘。むごい。

……と思つてゐたら、Cパートでまさかのお注射。色々怖い。といふところでお仕舞ひ。

今回の話を纏めると、麻侖は良い奴(頭が良いとは言つてない)、美波が何か怖かつた、ドイツ人にはふかした芋を食はせておけば良いらしい、美波がやつぱり怖かつた、つて感じかな?w

#7

いきなりお風呂シーンから始まつたのは何事?!と思つてゐたら、水不足に見舞はれた晴風。これは辛さう。山がちなところで育つた人間としては、海水であれこれするといふ状況は想像するだに恐ろしい。降雨に遭つて大はしやぎするのもむべなるかな。

しかし雨はいよいよ酷くなり、とても樂しんでゐられない状況に。附近で座礁した船が出るに及び、救助に向かふ晴風。明乃が自重したのでましろが現場指揮を執ることになつた。その時點で不穩だつたが、案の定といふか、我等が副長がひとり取り殘される事態に……。しかも、苦手な猫を抱へて。

ブルーマーメイドつてこんな感じなのね、つてあたりが良く示された回だつたと思ふ。軍艦要素なかつたけれども。

救出後、ここしばらくギクシャクしてゐたましろと明乃がイチャイチャ(違)してゐるのを目の當たりにした黒木の反應が怖かつた。

そんな中、印象に殘つたシーンは、副長の船室で仁義ない系の映畫を見てゐた二人とましろの落差、といふあたりで色々お察し下さい。

#8

霧の中から現れたのは武蔵……ではなく比叡。我々の世界線では大和型艦橋のテストベッドだつたんだつけ?

比叡が其の儘の針路で進むとえらいことになる、しかし戰力は晴風一隻限り。それでも、事前に作戰を立てて、學校の許可を貰つて、艦内の意思統一を圖つたあたり、今回は餘裕あつたんだなあと思ふべきなのか、進歩したよなあと感心すべきなのか。何せ今まであれもこれもどれも行き當りばつたり、出た所勝負、結果all rightの連續だつたもんなあ。

ともかく比叡を誘き寄せ、坐礁させようとするもなかなか上手くいかず、例によつて機關科が可哀相なことになり、同じところをぐるり一周してどうするんだよこれ、なんでバラスト排水したの?!?!、と視てゐる側も混亂してゐたら、潮の加減で比叡が坐礁ときて、ああさういふことねと俄に諒解したのだつた。艦長、どうせ意思統一するなら、二周目もあり得るといふ線を艦内に徹底しておかうよ、と思つたのは内緒。

真冬の濫行については見なかつたことにする。あそこ、どうしてああなつた?

芽依はやうやく魚雷發射の機會を得たけれども、中てないやうにといふ指示があつたのが可哀相だつたやうな、それくらゐの枷は嵌めておかないといけないやうな、複雜な氣持ちであるw

#9

前回の對比叡戰が割と燃えた反動なのか、どうもいまいちパッとしなくて、感想書くの遲れましたが何か。

といふことで、再びアドミラル・シュペーと對峙。乘り込んで齧齒類に惡さをされた乘員にワクチンを打ちまくつてどうにかする、晴風はその間撃沈されないやうに逃げまくる、といふのが基本路線。見せ方はともかく、そもそもの前提を考へればやつて然るべき話であるとは思つた。

以下、印象に殘つたところ。

#10

赤道祭回、ではあつたが、何と言はうか、最初のうちの皆のやる氣のなさときたら、なかなか「いまどき」で、麻侖のやる氣との間隙が凄かつた。あれぢや拗ねるのも仕方ない。拗ねた麻侖もそれはそれで可愛かつたけれどもw

それでも何とかお祭りらしい催しになつたので良かつた。氣樂に見ることのできる良い回。後はしつかりと話を纏めて貰へればと思ふ。

そんな中で一番の衝撃は美波さんの年齡。同い年でも十分驚異的だつたのに、12歳かあ……。

#11

いよいよ殘るは武蔵、といふところで、明乃は今までになく思ひ惱む。晴風艦内の意氣の高さとは實に對照的。

誘導彈が通らない所爲でブルーマーメイドが四苦八苦する中、話は武蔵艦橋メンバーの回想に。筋とはまるで關係ないが、艦長だけ制服まで違ふのは、一體どういふ理由なのかしら。

戰艦の彈がぽんぽん飛んでゐる状況の中でといふのがぞつとしなかつたが、最後に向けて氣分を盛り上げていくところは、良い話だなあ、と思つた。ベタベタな氣もするが、この作品の場合はベタで良い。

あと、機械の力で三角函數から解放された芽依ちやんの高まり具合がとても可愛らしうございました。

#12

いよいよ最終回。晴風は單獨で武蔵に突撃、綺麗に魚雷が當つたと思ふのだが、武蔵はびくともせず。WoWsならやれてゐたのでは? いや、WoWsの大和型がどれくらゐの堅さなのか知らないけれども。

撃ち返されて損傷多數、機械室浸水、總員退艦するしかないと思はれたところに、援軍來着。そりやまあ、さうでなくては、といふ展開。しかし、この損傷状況でも突撃するんですね、みたいなことを思はないでもなかつた。

そこから武蔵に衝突もとい接舷するまではまさに怒濤の流れ。驅逐艦級なのを良いことに、つてことではないと思ふが、壞れても仕方ないやうな無茶な扱ひ方をするんだから。

それでも最後、まさかあんな沈み方をするとは、よもや思つてゐなかつた。最初から最後まで、整合性よりもともかくやりたいことをとことん優先した作品だつたなあ、と、改めて思つた次第。

なにはともあれ、芽依と志摩のコンビが本當に宜しうございました。