説文解字私註 它部

它部

《説文解字本文》它 虫也。从虫而長、象冤曲垂尾形。上古艸居患它、故相問無它乎。凡它之屬皆从它。
《説文解字重文》 它或从虫。
《康煕》『玉篇』古文字。佗、蛇也。 『玉篇』非也、異也。『正字通』與佗他同。
《詩・小雅・鶴鳴》它山之石、可以為錯。 它山之石、可以攻玉。
《音》タ。ダ。
《訓》へび。ほか。それ。
[解字:白川]頭の大きな蛇の象。蛇の初文。金文や古籍にの初文として用ゐる。
[解字:藤堂]毒蛇の象。古く安否を尋ねるのに「無它乎」ときいたことから、別の意味に轉じた。
[解字:漢字多功能字庫]蛇の象。本義は蛇。假借して三人稱代名詞に用ゐる。古くは男、女、物を分けず它や他を用ゐ、現代の漢語では男を他、女を她、物を它といふ。
康煕宀部

補遺

《説文解字》の重文。
它の繁文で、その本義を表す。
常用漢字

《説文解字》
《康煕》它通。彼之稱也、此之別也。『左傳・莊二十二年』光遠而自他有耀者也。『詩・鄘風』之死矢靡他。又『小雅』人知其一、莫知其他。
《康煕》『玉篇』誰也。
《康煕》邪也。『揚子・法言』君子正而不他。
《康煕》凡牛馬載物曰負他。
白川は、聲、也はもと它につくり、他を佗としるすことがあるとする。藤堂は、它と也は混用され、佗を他と書くやうになつたとする。
「ほか」の意の他、三人稱代名詞や疑問代名詞として用ゐる。
康煕人部
當用漢字・常用漢字