説文解字私註 𠘧部

𠘧
𠘧 鳥之短羽飛𠘧𠘧也。象形。凡𠘧之屬皆从𠘧。讀若殊。
𠘱
新生羽而飛也。从𠘧从彡。
舒鳧、鶩也。从鳥𠘧聲。

舊版

𠘱

説文解字
新生羽而飛也。从𠘧从彡。
康煕字典
几部三劃
『唐韻』章忍切『集韻』止忍切、𠀤音軫。『說文』新生羽而飛也。
『集韻』之刃切、軫去聲。義同。
𢒀 彡部二劃
『唐韻』之忍切『集韻』止忍切、𠀤音軫。『說文』本作𠘱、新生羽飛也。『類篇』鳥羽始飛貌。
シン

第九篇彡部に㐱字を錄す。

説文解字
舒鳧、鶩也。从鳥𠘧聲。
康煕字典
鳥部二劃
『唐韻』防無切『集韻』『韻會』馮無切『正韻』逢夫切、𠀤音扶。『爾雅・釋鳥』舒鳧、騖。『郭註』鴨也。『疏』野曰鳧、家曰鴨。『又』鳧、雁醜、其足蹼、其踵企。『郭註』鳧雁腳閒有幕蹼屬相著、飛卽伸其腳跟企直。『疏』醜類也。『又』鸍、沈鳧。《註》狀似鴨而小、背文靑色、𤰞腳紅掌、短喙長尾。『詩・鄭風』弋鳧與雁。又『大雅』鳧鷖在涇。《註》鳧、水鳥。鷖、鳧屬。
『南越志』有私鳧棲息松閒不水處、宿必以樹。又『揚子方言郭註』江東有小鳧、其多無數、俗謂之寇鳧。
『山海經』鹿臺山有鳥、狀如雄雞、人面、曰鳧徯。
官名。『周禮・冬官考工記』鳧氏爲鍾。『正字通』鳧入水不溺、以名鍾工、取虛浮之義。
山名。『詩・魯頌』保有鳧繹。《註》鳧繹、二山名。又鳧麗山。見『山海經』。
魚鳧、人名。蜀山氏之君也。見『成都記』。
鳧茨、草名。『後漢・劉玄傳』人掘鳧茨而食。又『廣韻』茆鳧、葵也。
俗省作鳧。
簡体字
かも
(國訓) けり: 水鳥の名。また、助動詞「けり」に宛てる。
解字(白川)
鳥と人の會意。金文の字形は、鳥の後に小さく人を加へてをり、鳥形靈の觀念を示す字かと思はれる。鳧鷖は『詩・大雅』に鳧鷖在涇と見えるやうに、恐らく渡り鳥。時期を定めて來歸する鳥を、祖靈の化身と見て、そこを聖地として祀ることが行はれた。鳧の字形が、その鳥形靈の觀念と直接結合されてゐるやうに思はれる。
解字(藤堂)
鳥と儿(ずんぐりした鳥が飛ぶ形)の會意。
解字(漢字多功能字庫)
甲骨文、金文は、隹に從ひ、勹聲。勹は俯の初文で、身を俯せる人の形を象る。隹は意符で、小鳥を象る。隹と鳥は偏旁として通用する。本義は水鳥の一種、今でいふ野鴨のこと。
甲骨文では地名に用ゐる。
戰國竹簡では服字の異體が鳧に從ひ聲符となす。
漢帛書では本義に用ゐる。