説文解字私註 𦘒部

𦘒部

説文解字
帇𦘒手之疌巧也。从持巾。凡𦘒之屬皆从𦘒。
康煕字典
巾部三劃
『唐韻』尼輒切、音聶。『說文』手之疌巧也。『六書正譌』从手持巾、言其易。亦作。『六書正義』疌、手足相應敏也。通作
康煕字典・𦘒
聿部(零劃)
『字彙補』女涉切、音聶。『佩觿集』竹𦘒也。○按與不同。
セフ。ネフ。

説文解字
𢄥𢑩 習也。从𦘒㣇聲。
𧲁 籒文𢑩。
𥏚 篆文𢑩。 段注は𨽹につくる。
康煕字典
聿部七劃
『廣韻』『集韻』『韻會』羊至切『正韻』以智切、𠀤音易。『廣韻』習也。『左傳・文四年』臣以爲肄業及之也。『禮・檀弓』君命、大夫與士肄。《註》肄、習也。君有命、大夫則與士展習其事。
勞也。『詩・衞風』有洸有潰、旣詒我肄。《傳》肄、勞也。又『小雅』正大夫離居、莫知我肄。
『廣韻』嫩條也。『博雅』肄、枿也。『詩・周南』遵彼汝墳、伐其條肄。《傳》肄、餘也。斬而復生曰肄。『左傳・襄二十九年』晉國不恤宗周之闕、而夏肄是屏。《註》夏肄杞也。肄、餘也、是斬而復生之餘也。
水名。『山海經』肄水、出臨晉西南、而東南注海。《註》按卽溱水也。或作肄水。
通。『禮・玉藻・肆束及帶註』肆讀爲肄。肄、餘也。
康煕字典・𢄥
巾部十一劃
『玉篇』篆文肄字。
康煕字典・𥏚
矢部八劃
『字彙』篆文肄字。
康煕字典・𨽹
隶部七劃
『字彙』同肄。詳聿部肄字註。
『揚子・方言』烈枿餘也、秦晉之閒曰𨽹。《註》音謚。○按『集韻』隶字註引『方言』作隶、『方言』今本作𨽹、特兩存之。
康煕字典・𨽽
隶部八劃
『正字通』同肄。
ならふ。つかれ。うれひ。ひこばえ。あまり。
解字(白川)
會意。字の正體は𨽸につくり、長毛の獸の尾を持つ形。呪靈のある獸によつて呪儀を行ひ、厄災を人に移すことで、移されたものを隸といふ。
肄は𨽸、肆の譌形とみられる。
肄習、勞苦の意がある。また長い枝の先をいふ。肄餘の意がある。
解字(藤堂)
(筆を持つ)と𠤕(矢の古字)の會意。文字や弓矢を練習することを表す。

説文解字
持事振敬也。从𦘒在𣶒上、戰戰兢兢也。
𦘛 古文肅从心从卪。
康煕字典
聿部七劃
《古文》𦘡䏋𢙻
『唐韻』息逐切『集韻』『韻會』息六切『正韻』蘇谷切、𠀤音宿。『說文』持事振敬也。从聿在𣶒上、戰戰兢兢也。『廣韻』恭也、敬也、戒也。『書・太甲』社稷宗廟、罔不祗肅。《傳》肅、嚴也。言能嚴敬鬼神而遠之。又『洪範』恭作肅。《疏》貌能恭、則心肅敬也。『禮・玉藻』色容厲肅。《疏》厲、嚴也。肅、威也。
『爾雅・釋言』肅雝、聲也。
縮也。『詩・豳風』九月肅霜。《傳》肅、縮也、霜降而收縮萬物。『禮・月令』季春行冬令、則寒氣時發、草木皆肅。《註》謂枝葉縮栗。
『爾雅・釋詁』進也。『詩・大雅』民有肅心、荓云不逮。《箋》肅、進也。『禮・曲禮』客固辭、主人肅客而入。《註》肅、進也。進客謂道之。
『左傳・成十六年』爲事之故、敢肅使者。《註》肅手至地、若今撎。『禮・少儀』婦人吉事、雖有君賜肅拜。《註》肅拜、拜低頭也。『周禮・春官・大祝』辨九𢷎、九曰肅𢷎。《註》肅拜、但俯下手、今時撎是也。
急也。『禮・禮運』𠛬肅而俗敝、則法無常。《疏》肅、駿急也。『淮南子・本經訓』肅而不悖。《註》肅、急也。雖急、不促悖。
『爾雅・釋訓』肅肅、敬也。『又』肅肅、恭也。
『詩・周南』肅肅兔𥁕。『朱註』肅肅、整飭貌。
『詩・小雅』肅肅謝功、召伯營之。《箋》肅肅、嚴正之貌。
『詩・召南』肅肅宵征。《傳》肅肅、疾貌。
『詩・唐風』肅肅鴇羽。《傳》肅肅、鴇羽聲。
姓。漢鴈門太守肅祥。
『諡法』剛德克就曰、肅執心決斷曰肅。
國名。『左傳・昭九年』肅愼、燕亳、吾北土也。又『書序』肅愼來賀。『山海經』肅愼之國、在白民北。
州名。『韻會』古月支國地、漢置酒泉郡、後魏以酒泉爲甘州、隨分福祿縣置肅州。
馬名。『左傳・定三年』唐成公如楚、有兩肅爽馬、子常欲之。《註》肅爽、駿馬名。
通作宿。『儀禮・特牲饋食禮』乃宿尸。《註》宿、進也。『禮・祭統』宮宰宿夫人。《註》宿、戒也。
『集韻』所六切、音縮、鳥飛。同䎘。
『字彙補』先妙切、音嘯。敬也。『釋名』簫、肅也、其音肅肅然而淸也。
『韻補』叶音瑟。『陸機詩』羈旅遠遊宦、託身承華側。撫劒遵銅輦、振纓盡祇肅。『韻會』古凡夙音、多讀如息。尚書肅愼氏、史記作息愼。草疏宿菜、幽州人謂之息菜。
つつしむ。おごそか。きびしい。ととのふ。しづか。すすむ。
解字(白川)
と規の初形の會意。聿は筆。規は象形的にかかれ、それがのち𣶒の形とされた。規の初形は今の字形では夫とされてゐる形で、ぶんまはし。もと筆とぶんまはしとで規畫する意である。方形の盾に文樣を刻することを(彫、雕)といひ、畫くことをといふ。畫の田の部分が周、雕飾を施したところである。肅とは盾に雕、畫を加へる形である。(補註: 白川が肅として擧げた甲骨文を、落合は畫としてゐる。)
説文解字の釋は『詩・小雅・小旻』戰戰兢兢、如臨深淵、如履薄冰。(戰戰兢兢として深淵に臨むが如く、薄冰を履むが如し)の句によつて附會したので、肅の字の形義とは何の關係もない。
淵は回水、水の旋回する形をとる字で、肅の從ふところの𣶒とはもと同じでない。
肅を肅敬の意に用ゐるのは、文樣を加へることが、ものを聖化する方法と考へられたからであらう。
解字(藤堂)
(筆を手に持つたさま)と淵の略體の會意で、筆を持つて深い淵のほとりに立ち、身の引き締まるさまを示す。
解字(漢字多功能字庫)
金文はと𣶒に從ふ。構形初義不明。手に竹の杖を持ち深き淵のそばを行くのは戰戰兢兢とするの意と疑はれる。轉じて莊敬嚴肅を表す。
一説に聿は肅の聲符といふ。
金文では嚴肅、莊重を表す。王孫遺者鐘肅悊(哲)聖武、「肅哲」とは莊重明智の意。
當用漢字・常用漢字
《漢字表字體》粛