説文解字私註 𠂇部

𠂇部

𠂇

説文解字
𠂇手也。象形。凡𠂇之屬皆从𠂇。
康煕字典
丿部(一劃)
『唐韻』本字。
『集韻』古作𠂇。註詳月部二畫。
解字(白川)
の初文、手の象形。
解字(落合)
指示字。指先を右に向けてをり、左手を表してゐる。
西周金文で左手に持つ鑿の形のを加へた繁文のがつくられた。
甲骨文では、()とは反對に、神の祐助が得られない意で使はれてゐる。この用法は後代には見えず、該當する字はない。
解字(漢字多功能字庫)
甲骨文、早期金文では字を𠂇につくり、左手の形を象る。後期金文でを加へて左につくる。
ひだり

左手の形を象り、の初文。篆文以前の形は、右手を象ると左右對稱。

説文解字
賤也。執事也。从𠂇、甲。
康煕字典
十部六劃
『唐韻』府移切『集韻』『韻會』賔彌切『正韻』逋眉切、𠀤音𥓓。『說文』賤也。執事者。『玉篇』下也。『易・繫辭』天尊地𤰞。
『韻會』鮮𤰞山、在柳州界。
鮮𤰞、帶名。『楚辭・大招』小腰秀頸、若鮮𤰞只。《註》鮮𤰞、袞帶頭也。言腰支細小、頸銳秀長、若以鮮𤰞帶約而束之也。
姓。『廣韻』蔡邕胡太傅𥓓、有太傅椽鴈門𤰞整。
『前漢・鄒陽傳』封之於有𤰞。《註》地名也。音鼻。
音彼。與俾同。『荀子・宥坐篇』𤰞民不迷。
音陛。與庳同。『周禮・冬官考工記』輪人爲蓋、上欲尊而宇欲𤰞。
いやしい。ひくい。
解字(白川)
會意字。上部は杯形の器の形。下部はその柄を持つ形。椑の初文。柄のある匕杓の類で、酒などを酌む形である。
卑の大なるものを卓といひ、スプーンのやうな器。その大小高卑によつて、卓を卓然といひ、卑を卑小の意とする。
解字(藤堂)
會意字。丈の低い平らな杓文字を手に持つさまを示し、椑の原字。薄べつたく厚さが乏しい意を含む。轉じて身分の低い小者の意となる。
解字(漢字多功能字庫)
金文はに從ひ、手に柄のある道具を持つ形を象る。その道具は卑しく僕人の用ゐるところであると疑はれる。𠂇(左手の形を象る)に從つたり又に從つたりするが、もと分別はない。𠂇に從ふのが多いので、古く左が卑しく右が尊いので、𠂇に從ふは卑賤を表すと疑はれる。
甲骨文での用義は不詳。金文では讀んで俾となし、使を表す。國差𦉜卑旨卑瀞は使美使好を指す。また順從(大人しく從ふ、服從する)を表す。中山王鼎克順克卑
當用漢字・常用漢字
《漢字表字體》卑(U+5351; JIS:1-40-60)
《人名用許容字體》卑(U+FA35; JIS:1-14-78)