説文解字私註 共部

共部

説文解字
同也。从廿。凡共之屬皆从共。
𦱹 古文共。
康煕字典
八部四劃
《古文》𦱹
『唐韻』『集韻』『韻會』『正韻』𠀤渠用切、蛩去聲。『說文』同也。从廿卄。『徐曰』廿音入、二十共也、會意。『玉篇』同也、衆也。『廣韻』皆也。『增韻』合也、公也。『禮・王制』爵人于朝、與士共之。『史記・張釋之傳』法者、所與天下共也。
『唐韻』九容切『集韻』『韻會』居容切、𠀤音恭。『前漢・王褒傳』共惟秋法、五始之要。《註》服虔曰、共、敬也。師古曰、共、讀曰恭。
姓。『氏族略』以國爲氏。
地名。『詩・大雅』侵阮徂共。『韻會』阮國之地、在河內共城。
『集韻』古勇切『正韻』居竦切、𠀤恭上聲。『前漢・百官公卿表』垂作共工、利器用。《註》應劭曰、垂、臣名也。爲共工、理百工之事。共讀曰龔。
向也。『論語』居其所而衆星共之。
姓。『前漢・匈奴傳』太守共友。《註》師古曰、共友、太守姓名也。共讀曰龔。
『集韻』『正韻』𠀤居用切、恭去聲。『左傳・僖四年』敢不共給。『前漢・成帝紀』無共張繇役之勞。《註》師古曰、共音居用反、謂共具張設。又『律歷志』共養三德爲善。○按、共給、共養、有平、去二音、音別義同、故『正韻』東、送二韻共供兩存之。
『正韻』忌遇切、音具。『周禮・天官・內饔』掌共羞修𠛬膴胖骨鱐、以待共膳。《註》掌共、共當爲具。
『集韻』胡公切、音洪。共池、地名。
『字彙』本作卄、象兩手合持之形。今作共。
ともに。そなへる。つつしむ。
解字(白川)
會意。卜文は𠬞につくり、金文はそれぞれ上に形のものを持つて奉ずる形で、恭の意に用ゐる。篆文の廿は捧げるものの形、恐らく禮器であらう。禮器を奉じて拱手するので恭の意となる。『儀禮・鄉飲酒禮』退きて共すは拱手。左右の手を共にするので共同の意となり、また供獻の意となる。
解字(藤堂)
會意。上部はある物の形、下部に左右兩手でそれを捧げ持つ姿を添へたもの。拱、供の原字。兩手を揃へる意から、「ともに」の意を派生する。
解字(落合)
兩手で供物を供へる形。供へられる物品は抽象的に表される。兩手の形の廾は亦た聲符。供は共から派生した同源の字で、いづれも「そなへる」の意がある。
解字(漢字多功能字庫)
甲骨文、金文は、廾と二縱劃に從ふ。左右兩手が相對し、それぞれ物を持ち、恭敬し供へ奉る形を象り、恐らく供の初文。供給、恭敬の意を派生する。
金文後期の字形は手と縱劃が相連なり、或は二縱劃の間に圓點が增え、點が横劃に延ばされ、遂には二縱劃が廿の形に變はつた。下部の兩手は小篆でその形を留めるが、隸變の後は二點に省略され、今日の楷書の共となつた。説文解字の古文は四手に從ふが、上部の兩手は廿の變化した形で、本來は手の形ではない。
甲骨文の用義は不詳。
金文での用義は四つある。一に、恭しく捧げ持つことを表す。二に、供給、供用を表し、供に同じ。三に、命を奉ずること、命に從ふことを表し、後には恭につくる。四に、人名。
秦簡、漢帛書での用義は三つある。一に、供に同じ。二に、共同。三に、恭に通ず。
當用漢字・常用漢字

説文解字
給也。从龍聲。
康煕字典
龍部六劃
『唐韻』俱容切『集韻』居容切、𠀤音恭。『說文』給也。『玉篇』奉也。亦作。又慤也。與同。『梁元帝・告四方檄』中權後勁、龔行天罰。
『集韻』州名。
姓、晉大夫龔堅。又前漢龔勝、龔善、𠀤著名節、世謂之楚兩龔。
キョウ
つつしむ。そなへる。
解字(白川)
會意。初形は。龏は龍形のものを奉持する形。恭の初文と見て良い。
解字(藤堂)
會意、共は亦た音符。
解字(漢字多功能字庫)
甲骨文、金文は、龏につくり、廾も龍も聲符。恭しく行ふことを表す。恭や共と通用する。龏はもと廾に從ひ、共に從ふ龔は、西漢馬王堆竹簡に初めて見える。
後世の字書は、龔に供給の義があり、後に供につくるとするが、按ずるに古文字ではこの義は見えない。